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2026年5月24日 07:10

賃上げの波に、中小企業はどう向き合うか。宮古島の現場から考える

賃上げの波に、中小企業はどう向き合うか。宮古島の現場から考える

「また最低賃金が上がるのか……」

最近、宮古島で経営者の方々とお話しすると、こういったため息をよく耳にします。

2025年10月から全国加重平均の最低賃金は1,121円となり、前年比で約6.3%の引き上げとなりました。政府は「2020年代に1,500円」という目標を掲げており、今後も年率5〜6%ペースでの引き上げが続くと見られています。

この流れは、宮古島の中小企業にとっても他人事ではありません。

ただ、私たちがお伝えしたいのは「大変だ」という話だけではありません。賃上げとデジタル化には、見落とされがちな「意外な関係」があります。今回はその点を、宮古島の現場の声も交えながら解説します。

「賃上げ=人件費増大」だけではない、もう一つの見方

賃上げが続くと聞いて、多くの経営者が最初に思うのは「コストが増える」ということです。これは当然の反応です。しかし少し立ち止まって考えると、別の見方もできます。

賃上げとは、1人ひとりの従業員への支払いが増えるということです。裏返せば、「1人ひとりがより多くの成果を出せる状態にしなければ、経営が立ち行かなくなる」ということでもあります。

宮古島のある事業者さんは、こうおっしゃっていました。
「給料を上げるためには、今の仕事のやり方を変えるしかない、と最近ようやく気づいた」
この気づきは非常に本質的です。賃上げの波は、業務の無駄を見直すきっかけにもなり得るのです

補助金を受けるなら「賃上げ」が条件になっている

もう一つ、経営者の方に知っておいていただきたい政策の変化があります。

2026年から「デジタル化・AI導入補助金」(旧:IT導入補助金)の申請要件として、賃上げが条件として組み込まれました。具体的には、補助を受けるためには以下を満たす必要があります。

  • 事業場内の最低賃金を、地域別最低賃金+50円以上にすること
  • 1人あたりの給与支給総額を、年率3.5%以上向上させること

つまり、「デジタル化の補助金をもらいながら、賃上げもする」という流れが、政策として一体化してきています。これは「大変になった」と見ることもできますが、「補助金を活用してデジタル化を進め、その生産性向上分で賃上げを賄う」というルートとして捉えることもできます。

補助率は最大4/5、上限は450万円です。うまく活用すれば、設備や仕組みへの投資を大幅に抑えながら、業務改善を進められます。

宮古島でも、小さな一歩から変わっている

「デジタル化と言っても、うちには関係ない」と感じる方も多いかもしれません。
でも私たちが実際に見てきたケースは、大掛かりなシステム導入ではありませんでした。

例えば、宮古島の株式会社久松製麺所では、長年ベテラン職人の勘に頼っていた「加水量(生地の水分量)」をデータとして記録することから始めました。毎日の気温・湿度と加水量をメモするだけです。その積み重ねが、今では自動で最適な加水量を提案できる仕組みになっています。

特別な知識もなく、高価なシステムも不要でした。

また、宮古島の株式会社Rootでは、紙と個人LINEで回していた4事業の事務作業をGoogle Workspaceに切り替え、月13時間以上の業務時間を削減しました。削減できた時間は、より付加価値の高い業務に使えます。

これが「賃上げ分を生産性向上で吸収する」という考え方の、現実的な姿です。

今、動き始めるのに「ちょうどいいタイミング」

賃上げの義務化やコスト上昇は、確かに経営の重荷になります。しかし同時に、政府はデジタル化のための補助金制度を強化し、中小企業が動きやすい環境を整えつつあります。

何から始めたらいいかわからない、という方こそ、今が動き始めるタイミングかもしれません。

難しいシステムを一気に入れる必要はありません。まず自社の業務を棚卸しして、「どこに時間がかかっているか」を把握するところから始められます。

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