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2026年4月28日 09:02

(前編)「使いにくい」は仕組みのせい — 『誰のためのデザイン?』から学ぶ業務改善のヒント

(前編)「使いにくい」は仕組みのせい — 『誰のためのデザイン?』から学ぶ業務改善のヒント

毎日の業務で、こんな経験はありませんか?

  • 新しいシステムを導入したのに、誰も使わない
  • 操作方法を何度教えても、同じ質問が来る
  • 「結局、前のやり方のほうが早い」と言われる

これは、使う人の問題ではありません。
仕組みの設計の問題です。

アメリカの認知科学者ドン・ノーマンが書いた『誰のためのデザイン?(The Design of Everyday Things)』という本があります。世界中で読まれているこの本は、「なぜ人はドアの押し引きを間違えるのか」という身近な疑問から、良い設計とは何かを解き明かしています。

今回は、この本の考え方を中小企業の業務改善に当てはめてみます。


1. 「アフォーダンス」— 見ただけで使い方がわかるか?

ノーマンは「アフォーダンス」という概念を紹介しています。簡単に言えば、見た目が使い方を教えてくれるということです。

ドアにハンドルがついていれば「引く」とわかる。平らな板がついていれば「押す」とわかる。説明書がなくても、自然に正しい動作ができる。

業務に置き換えると:

あなたの会社の日報フォーマット、何も説明がなくても正しく書けますか?

記入欄に「備考」とだけ書いてあったら、何を書けばいいかわかりません。でも「今日困ったこと(あれば)」と書いてあれば、迷わず書けます。

ポイント: ツールや書類は「説明しなくても伝わる」を目指す。説明が必要な時点で、設計を見直すサインです。


2. 「フィードバック」— 操作した結果が見えるか?

ボタンを押しても何も反応がなかったら、不安になりますよね。「押せたのか?もう一度押すべきか?」と。

ノーマンは、操作の結果がすぐに見えることが大切だと言います。これを「フィードバック」と呼びます。

業務に置き換えると:

お客様がWebフォームから問い合わせを送った後、画面に何も表示されなかったらどうでしょう?「ちゃんと届いたのかな?」と不安になり、電話で確認するかもしれません。

「送信完了しました。2営業日以内にご連絡します。」という一言があるだけで、安心できます。

社内でも同じです。報告を上げたのに何の反応もなければ、「見てもらえているのかな」と不安になります。

ポイント: 「ちゃんと伝わった」「次に何が起きる」を、すぐに返す仕組みを作る。


3. 「対応づけ(マッピング)」— 直感的に操作できるか?

コンロのスイッチが4つ横に並んでいて、どのスイッチがどの火口に対応するかわからない——これはマッピングが悪い例です。

スイッチの配置が火口の配置と同じなら、迷いません。

業務に置き換えると:

管理表のシートが「Sheet1」「Sheet2」「Sheet3」と並んでいたら、どれを開けばいいかわかりません。「受注一覧」「在庫管理」「売上集計」と名前がついていれば、一瞬で目的のシートにたどり着けます。

フォルダ名、ファイル名、メニューの並び順。小さなことですが、情報の配置が業務の流れと一致しているだけで、作業スピードは大きく変わります。

ポイント: ツールの構造を、実際の業務の流れに合わせる。


4. 「エラーの設計」— 間違えても大丈夫か?

ノーマンは「人はミスをする生き物」という前提で設計すべきだと言います。大事なのは、ミスが起きにくく、起きても取り返せる仕組みです。

業務に置き換えると:

  • 請求書の金額欄に文字が入力できてしまう → 数字しか入力できないようにする
  • 大事なファイルを誰でも削除できる → 削除前に確認画面を出す
  • 入力ミスに気づかないまま送信される → 送信前にプレビュー画面を挟む

「気をつけてね」と言うのではなく、間違えにくい仕組みを作ることが大切です。

ポイント: 「ヒューマンエラー」ではなく「デザインエラー」と考える。


まとめ:「使いにくい」を放置しない

『誰のためのデザイン?』が教えてくれるのは、シンプルなことです。

使いにくいのは、使う人のせいではない。仕組みのせいだ。

  • 説明しなくても伝わるか?(アフォーダンス)
  • 操作の結果が見えるか?(フィードバック)
  • 直感的に操作できるか?(マッピング)
  • 間違えても大丈夫か?(エラーの設計)

この4つの視点で、今の業務のやり方を見直してみてください。高い費用をかけなくても、ちょっとした設計の工夫で、業務はぐっとラクになります。

次回は、この4つの原則を使って「なぜ作った管理表が使われなくなるのか」を具体的に見ていきます。


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